作業療法士は常に自己研鑽が求められるお仕事です。
スキルアップしたいと思いながらもなかなか実行できずにいる作業療法士の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
作業療法士としてスキルアップしてキャリアを築いていくためにどのようなことが必要なのでしょうか。
この記事では経験年数ごとに習得していくことをおすすめするスキルと、筆者自身が作業療法士としてどのようにスキルアップしてきたのかについても一部お伝えします。
作業療法士のスキルアップ術〜初級(1・2年目)編〜
スキルアップできる環境で働く
スキルアップと聞くと「資格をとる」ことを思い浮かべる方は多いと思います。
ですが作業療法士に関連する資格は実務経験が必要であることが多いです。
まずはスキルアップできる環境で働くことで知識や技術を習得していくことが良いでしょう。
臨床でわからないことは調べる・上司に尋ねる
現場で日々患者さんに関わる中でわからないこともたくさん出てきます。
文献や参考書でわからないことを調べたり、調べてもわからないことに関しては上司に尋ねたりすることで実践しながら学ぶことができます。
文献検索のツールとしては、無料で使用できるものや有料のものもあります。
有料の文献検索ツールは勤務先の契約で利用が可能な場合もあるため確認してみるとよいでしょう。
筆者は就職して初めに、「触診ができたら技術が上がるよ」と先輩に教えてもらいました。
そのため仕事終わりに先輩に触診の練習をお願いしたり、解剖学の勉強をしたりすることを特に行なっていました。
分厚い解剖学の本を持ち運んで使用するのが大変なため、スマートフォンの解剖学アプリをダウンロードするのがオススメです。
筋肉の構造や動き、作用などの知識がグラフィックで理解でき、隙間時間の勉強に活用していました。
セミナーに参加する
職場内外での勉強会や講習会に積極的に参加することで知識や技術を習得することができます。
作業療法士会のホームページなどでセミナー情報を見ることができます。またSNS上で療法士さんが個人的に実施を呼びかけている勉強会などもあります。
筆者は勤め先の院内勉強会に参加したり、外部の勉強会情報サイトを利用して参加していました。
作業療法士のスキルアップ術〜中級編(3〜5年目)〜
資格を取得する(〜比較的チャレンジしやすい資格〜)
業務に少し慣れてきたところで資格取得をすることでスキルアップになります。まず比較的チャレンジしやすい資格として以下のようなものがあります。
【福祉住環境コーディネーター】
生活の場である住環境の福祉用具などの提案ができる資格です。受験資格は特に制限がないことから比較的受験しやすいと言えるでしょう。
<受験資格>
学歴・年齢による制限なく受験可能。
【認知症ケア専門士】
「認知症ケア学会」が認定する更新性の資格で、認知症介護従事者の自己研鑽や学習機会の提供を目的に設けられた資格です。
どの分野でも認知症の方に関わる機会の多い作業療法士には人気の資格です。
受験資格は年齢制限と実務経験のみであり、比較的受験しやすいと言えます。
<受験資格>
18歳以上で3年以上の認知症ケアの実務経験を有すること
資格を取得する(〜比較的難易度高めの資格〜)
さらにスキルアップしたいという方は難易度の高めの資格にチャレンジしてみましょう。
受験資格は実務経験に加えて習得する必要がある要素が多くなります。
具体的には以下のようなものがあります。
【3学会認定呼吸療法認定士】
呼吸療法を行なっている患者さんのアプローチを習熟し、呼吸療法の目的・理論・治療の実際などの専門知識が身に付きます。
<受験資格>
・実務経験が2年以上ある
・認定委員会が認める学会・講習会等で12.5点以上取得している
【心臓リハビリテーション指導士】
心臓リハビリテーションにおける運動療法や栄養管理、生活習慣指導を含めた包括的な知識を身につけ、心リハのスペシャリストとして循環器疾患の治療や再発予防に携わることができます。
<受験資格>
・委員会主催の講習会を当該年度に受講している
・作業療法士の資格を取得している
・受験申請時、また申請時の直近2年以上継続して会員歴がある
・心臓リハビリ指導の実務経験が1年以上ある。もしくは心臓リハビリ研修制度により受験資格認定証の交付を受けている
【認定作業療法士】
作業療法士としての臨床の実践、教育、研究、管理運営の各種能力が一定水準以上あると認定される更新性の資格です。
<受験資格>
・作業療法士としての実務経験が5年以上ある
・都道府県の作業療法士協会に所属している
・日本作業療法士協会主催の「共通研修(3講座)」「選択研修(2講座以上)」の受講と試験合格が必要
・事例報告(3症例)
学会発表をする
臨床の疑問点について深く勉強したいという方にはケース研究などから学会発表をすることも良いでしょう。
年に1回、日本作業療法学会が開催されており参加登録することで発表の機会が得られます。
作業療法としての最新の情報収集ができるだけでなく、たくさんの作業療法士の人たちとの交流を広げることができるでしょう。
発表方法はプレゼンテーションによる方法と、ポスター発表による方法が選択できます。
作業療法士のスキルアップ術〜上級編(5年以上)〜
専門作業療法士の資格取得
さらに特定の分野において専門的な能力を身に付けたいという方は専門作業療法士の取得を目指すことも良いでしょう。
問題解決能力を持っているだけでなく教育や研究、開発の能力も必要です。
<受験資格>
・認定作業療法士の資格を取得している
・専門分野において4つの実践を修了している。
1.研修実践:計20専門単位
2.臨床実践:計20専門単位
3.研究実践:計10専門単位
4.教育と社会貢献の実践:計10専門単位
・資格認定審査(試験)の合格
大学院進学による研究活動
高い専門性をつけるためには大学院に通って研究をしたり知識を身につけることも大きなスキルアップにつながるでしょう。
学位を取得することで高い専門性を持つことの証明にもなります。
筆者自身も経験5年目で大学院に進学しました。
自身の臨床での疑問について研究をすることでさまざまな視点から考える力や、医療職として求められる理論的に考える力が身につき作業療法士として大きなスキルアップにつながりました。
また作業療法分野以外の自分の知らなかった世界も知ることができ、広い視野を身につけることができたように思います。
勉強会や講演会の実施
臨床で積み上げた経験から知識や技術を活かして勉強会や講習の機会をもつこともスキルアップに繋がるでしょう。
各県士会の活動に積極的に参加し、専門分野で活動を継続していくことで新人OT向けの講義を任される機会があるかもしれません。
具体的には、一般の方や介護職員に向けて「効率的な介助方法」の講習会を実施する、地域の高齢者の方にむけた「介護予防の講習会」の実施といったことが挙げられます。
作業療法士のスキルアップ術〜番外編〜
自費診療のリハビリに挑戦する
保険診療ではなく自費負担のリハビリに挑戦し、これまでとは違った診療方法でリハビリを提供する機会を持つこともスキルアップにつながるでしょう。
保険診療ではニーズが満たされなかった利用者が自費で高いお金を支払ってまでも状態を改善させたいという気持ちを持って来られることが多いです。
そのため高い技術を求められる傾向にあり、常に研鑽していく姿勢が必要でしょう。
起業するためのスキルを身につける
作業療法士の経験を活かした分野で起業をすることは作業療法士としての成長だけでなく、ビジネス家としての成長も見込めるでしょう。
自費診療と同じように、集客できるだけの高い技術が必要であると同時に営業や宣伝などのビジネススキルも必要となるでしょう。
作業療法士で実際に起業している人たちの事業内容として以下のようなことが挙げられます。
・訪問看護、デイサービスなどの起業
・整体院、リラクセーションサロンとしての起業
・発達支援の相談員としての起業 など
フリーランスとして働くためのスキルを身につける
フリーランスとは、会社に雇用されずに業務委託などで働く形態のことです。
作業療法士の資格をいかしてフリーランスで働くという方法もあり、そのためには様々なスキルが必要です。
具体的には以下のような仕事内容が挙げられます。
・別の病院や施設の事業者から業務請負
・心と体に対するアプローチに関連してヨガやピラティス教室を開く
・医療関連の WEBライター・デザイン関連・動画編集業務
・相談経験を活かしたコーチング・カウンセリングの実施 など
資格を活かしたフリーランス形態で働くことで幅広くスキルアップすることができます。
まとめ
いかがでしたか?
今回作業療法士がスキルアップするために必要なことを主に経験年数別に分けてお伝えしました。
作業療法士としてのキャリアアップ方法は一つではないため、ご自身の関心のある方法でスキルを身につけていただけたらと思います。
同じ作業療法士の立場から、今しかできない貴重な経験が積めるために心から応援しています。
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